私が愛した哲学者
私は倫理が好きでした。高校生の最後に好きになりました。
最初は正直に言って、全く興味がないどころか、毛嫌いするぐらいでした。
授業中も頬杖をついていた程(笑)
でも、気持ちが変わる瞬間がありました。高校生の最後の年に偶然出会った方がいて、その方が話される哲学があまりにも魅力的だったのです。
それからその方の哲学の話を前のめりに聴くようになり、倫理に興味を持ちました。人々の思想や全力で守り抜いた考えが頭に残るようになりました。
話を聴くうちにヤスパースが惹かれるようになり、彼についてたくさん調べました。彼の思想は、今ではあまり受け入れられないのかもしれませんが、愛に生きる彼は魅力的でした。あと、ヤスパースはどこかあの方に似ている気がします。
大学に入って、哲学の授業を受けたり、図書館で哲学や哲学者についての本をたくさん読み漁りました。充実してるし、本当に満足もしています。
だけど、何かが足りないと感じるようになりました。環境も内容もすべてが完璧なように思えるのに何か物足りない。
きっと私は高校時代に味わった、あの瞬間があまりにも好きすぎたのではないかと思います。日が沈み、窓から吹く微かな風と、教室に満たされる心地の良い声、何となく懐かしい香水。すべてが好きでした。
かなり月日が経ても、忘れるどころかひどく胸を離れない。私に哲学を教えてくれたあの方は間違いなく、最大で最愛の哲学者でした。
戻りたいね、戻れないけど。